南インド
チェンナイからの留学生が
「これ、家で食べたのとおんなじ味だ」
とお変わりして食べてくれたレンズ豆のカレー。
お世辞だとわかっていても
嬉しいものです。
地元タミール地方のチェンナイでは
レンズ豆のカレー
ダールはお味噌汁的感覚でいただくそうで
ご飯と共に食べるのではなくて、
むしろ汁物の部類だそう。
一般的に豆類は
一晩水につけてふやかしたあと煮ますが、
レンズ豆のこの種類は
ふやかさなくてもすぐに煮えるので
とっても便利。
チェンナイ出身の子が褒めてくれた作り方は
実は以前
インドにルーツを持つ同僚が教えてくれたものです。
その同僚はお母様がインド・ムンバイ出身。
お父様がドイツ系スイスの方で、
学校のお休みにスイスからインドに帰った時
「学校を卒業したら料理人になりたい」
とムンバイのおばあさまに言ったら、
数分間無言だったという話があります。
それもそれ、
お母様のご家庭は
庭師やコック、運転手をはじめとして
ハウスキーピングは全て他人に任せていたので、
大事な孫がカースト違いのコックになるなんて
絶対に考えられないことだったらしいです。
そんなわけでその同僚が作るインド料理は
彼の舌に頼っているものですが、
その彼も今ではスターエアラインズ系ビジネスクラスファーストクラスの
インド方面向け調理監修担当シェフとなりました。
私たち日本人にとってもお味噌汁は
各家庭で色々と違ってくるように、
おそらくインドでも色々と違いがあると思います。
ですので、
ドイツでもできるインドの味・・・
ということで、
夏にふさわしいダールカレーをご紹介いたします。
材料は
赤のレンズ豆 250g Rote Linsen
小さな玉ねぎのみじん切り 1個分
ニンニク2片 みじん切り
大きな調理用トマトざくぎり 2個分
フレッシュな香菜
テンパリング用に黒いマスタードシード
パウダースパイスとして
クミン
ターメリック
コリアンダー
チリ
ヒン
ジンジャー
をお好みで。
レンズ豆を3倍の量の水で25分ほど
柔らかくなるまで火を通します。
その間、
フライパンにサラダオイルを入れ、
黒のマスタードシードを大さじ1杯ほど蓋をして
中火〜弱火でパチパチと音がするまでテンパリングします。
音が小さくなったら蓋を取り、
ニンニクと玉ねぎを茶色になるまで炒めます。
炒まったらトマトを入れて火入れし、
塩で調味をしておきます。
レンズ豆が柔らかくなったらフライパンの中身を入れ、
お好みの配合でパウダースパイスを入れ、
塩で調味して出来上がり。
最後にフレッシュな香菜を入れて・・・
黒いマスタードシードとヒンは馴染みが薄いのですが、
インド系やアジアのスーパーマーケットで入手できます。
ヒンは日本人の私たちにとっては『わ、臭い』のですが、
これを微量入れることによって
まさにインドの味となります。
ヒンはフェンネルの仲間、
ジャイアントフェンネルという直物の根っこから採取するスパイスだそうで、
そのままですと硫黄温泉にいるような匂いが特徴です。
でも熱することにより
ヒンはインド独特の
食欲を刺激してくれる香りとなります。
これがそのヒンの容器
↓
あまり使うことはないかとも思いますが、
インド料理がお好きな方はどうぞお使いになってみてください。
材料さえ揃えれば
案外簡単なインド料理。
ですが、
インドは宗教も宗派も色々あって
食に関する戒律が厳しい国としても有名です。
戒律が厳しいので、
オフィスの昼休みに
同僚とどこかへランチに出かけるというのは難しく。
なぜなら
同僚と違う戒律だし、
ランチに行った先で
自分と違う宗派の人が調理をしていたら食べられないし・・・
ということで
ささっとランチに行くということが難しいムンバイでは、
自宅にお弁当をとりに行き、
それをオフィスに届けるというお弁当配達屋さんが存在します。
家庭にとりに行ったお弁当は
ビルごとに仕分けされ
それを配達人が自転車にくくりつけ
配達されます。
インドの昼食は
いくつかのカレーや副菜そして汁物ダール・・・
となるので、
日本のお弁当箱のように一つには入りきらないのだそうで。
世界中
色々な言葉があるように
色々な食文化。
そのそれぞれが歴史を持っていて
とても面白いと思います。