ドイツ人は堅実に生活をする人が多いとか。
友人の中でも毎週食べるものが決まっていて、
月曜日はひき肉が大抵お肉屋さんでお安いのでハンバーグの日
火曜日は残り物をオーブンで焼くアウフラウフ グラタンかオムレツ類の日
水曜日は近くのガソリンスタンドの隣で売っているローストチキンの日
木曜日はスパゲティやピザ等子供が好きなもの
金曜日はお魚
土曜日はアイントップ 具沢山のスープの日
日曜日はお肉
・・・・
これを毎週毎週、何年も続けているという・・・
なぜ金曜日がお魚の日かというと、
それはカトリックの信仰からきていて、
イエスキリストが十字架に貼り付けられた日が13日の金曜日だったからだそうです。
ですので、
この日は『温かい血が流れるお肉は食べない』とされているため、
金曜日には冷たい生物の、お魚の日となったようです。
これには追加の説もあり、
昔々、
肉系を好むゲルマン人を商売相手にしていた漁師が、お魚が売れなく困ったので、
神父に泣きついて、1週間のうちの1日だけお魚を食べるという日を作ってもらった・・・・
とかいうストーリーを、
どこかの誰かのパーティーの、スモールトークで聞いたことがあります。
そして土曜日。
土曜日はアイントップ。
Eintopf
すなわち 一つの鍋 となるでしょうか?
実だくさんのこのスープのことで、
この一皿でお腹がいっぱい。
なぜ土曜日がこの実だくさんのスープになったかというと、
かつでのドイツでは土曜日はお掃除の日と決まっていて、
手持ちのお野菜や肉類を片付け、コトコト煮ている間に家中のお掃除もできる・・
という合理性からだそうです。
そういえば、
現在での土曜日はお掃除の日というよりも、
『土曜日には車を洗う』というドイツ人も確かに多いですね。
なぜこういうウンチクでお話を始めたかと言いますと
理由がありまして。
実は・・
主人が、曾祖父母時代からの物品を山ほど貯めていて、
ついにそれを片付けるという段階に(やっと)きました(万歳)
古い本や書簡も山ほどあり・・・
その中から見つけた私のお宝が:
1928年にウィーンで初版が発行された料理の本と、
1929年にカールスルーエで発行された家事育児調理の基礎知識の本!
この基礎知識の本には、
生活のこと、日々の家事、使用人の扱い方等までもが書かれています。
当時、
おそらくお嫁に行く娘に持たせた本なのでしょう。
上記の
『土曜日は掃除をし、実だくさんのスープを作る』
というウンチクも、
実はこの本にあった内容でした。
そしてその古本と書簡の山の中から見つけた、
曽祖母の手書きのレシピ本
↓
友人から送られたと見られる葉書が一枚・・
Sütterlinという文字で書かれたその手書きのレシピは、
大変読みづらいのですが、そこにもあったのがこのLinseneintopf
レンズ豆のスープ
昔も今も変わらないそのレシピは、
まさに家庭に定着したドイツのお味だと思います。
私が学生時代のドイツの大学の学食 メンザでも、
土曜日はやはりこのスープでした。
レストランではあまりお目にかかりませんが、
たまにはドイツ人になった気分で如何でしょう?
いるものはレンズ豆。
ドイツ語ではTellerlinsenとかいう商品名で袋入りで売っています。
レンズ豆は、
乾燥インゲン豆とか乾燥グリンピースよりも柔らかくなる時間が早いので、
このまま調理開始でも良いのですが、
できれば一晩お水に浸しておきましょう。
1029年発行の家事育児調理の本にも
『一晩水につけておくことによって消化がよくなる』
とありました。
確かにそうで、
お豆の類はお腹の中で発酵する?為か、お豆のスープをいただくと『ガス』を発生することが多くなりますが、
一晩浸して手で少しもんで、水面に浮いた薄皮をなるべく除くことにとり、
その『ガス』の問題も、お腹がパンパンになるということの問題も解決いたします♪
一晩浸しておいて、
薄皮をなるべく除いたレンズ豆はお鍋に入れ、
新しいお水をひたひたに入れて、
調味料もお塩もしないでそのまま蓋をして15〜20分ほど煮ます。
その間、
お野菜等の準備。
土曜日のスープには色々なスープがありますが、
そのどれにも必要なのが、この根菜類のセット
Suppengemüseです。
↓
本日のセットには
にんじん
ポワローネギ
根セロリ
根パセリ が入っていました。
これをザクザクと適当に細かく切りましょう。
あと必要なのがベーコン。
お肉屋さんでベーコンの塊から切ってもらうのが一番いいのですが、
こういうのも売っています。
多分みなさま、一度はスーパーでご覧になったことがあるかと・・・
↓
今日は一袋500gのレンズ豆の半量で作りますので、
ベーコンも一切れ。
二枚入っていたので、もう一枚は冷凍庫行きとなります。
あと、
脂分の多いソーセージがあれば、
それも切ってしまいます。
もしなければなくてもOKですし、
ウィンナーとかが残っていたら、後からスープの中で温めても♪
コトコト煮ていたお鍋のお豆が柔らかくなったら、
お野菜を入れて、
ベーコンは切らないで、
そのままドボン。
お野菜が柔らかくなるまでこのまま煮ます。
ベーコンやソーセージから塩分はかなり出るので、
お塩はしなくてもいいですし、
しても、とってもとっても控えめに。
その代わり、
ハーブを入れましょう。
ドイツではBohenkrautというハーブと普通のパセリを入れます。
↓
これがそのボーネンクラウト。
Bohnen豆のハーブというくらいですから、ドイツの豆料理には欠かせません。
自宅では庭にありますが、乾燥したものも売っています。
それがこれ
↓
日本で入手できないようでしたら、マジョラムとタイムでいかがでしょう?
パセリはイタリアンではなく、
葉っぱがチリチリの普通のタイプのものをお使いください。
この茎の部分を細かく切って、この時に入れてしまいます。
葉っぱの部分は後からですが、この時に切って小皿に別にしておけば後からがラクです♪
そしてお野菜が柔らかくなるまで7〜8分、コトコトと。
お鍋のお野菜が柔らかくなったら
ベーコンを出して、切ります。
アッチッチなので気をつけて。
皮の部分は捨てずにお鍋へ戻します。
細かく切ったベーコンのお肉の部分もお鍋へ。
この辺は、曽祖母の手書きのレシピにありました♪
↓
*皮の部分は食べれませんが、味が出るので、捨てずにもう一度鍋に戻すこと*
そして切っておいたソーセージも入れて
弱火でソーセージに火を通します。
ここから先はもう強火にしません。
ゴトゴトとも煮ません。
お塩で調味して、パセリの葉っぱの部分を細かく切ったものも入れて。。
そして重要なのがもう一つ。
それは
『お酢』!!
このレンズ豆のスープはお酢を入れることによって味がしまります。
バルサミコとかではなくて、ここはドイツ料理ですもの、
リンゴ酢 Apfelessigで♪
私は酸味が強いスープはあまり好きではないのですが、
主人は食卓でお酢を追加し、マスタードを混ぜて食べております。
同じような手順で、
ジャガイモのスープもWirsingサボイキャベツ(ちりめんキャベツ)のスープもできます。
昭和の日本、特に東京では、お醤油が必ず卓上にあり、
何にでもお醤油をかけていたような気がします。
ドイツでは、マスタードが基本の卓上調味料文化なのでしょうか?
我が家のマスタードの使用量は、ハンパではありません。