ドイツ デュッセルドルフのクッキングスクールから 

在独40年+α デュッセルドルフのクッキングスクールでドイツ人に調理の基礎を教えております

Linseneintopfドイツの家庭料理 レンズ豆のスープのお話

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ドイツ人は堅実に生活をする人が多いとか。

 

友人の中でも毎週食べるものが決まっていて、

 

月曜日はひき肉が大抵お肉屋さんでお安いのでハンバーグの日

火曜日は残り物をオーブンで焼くアウフラウフ グラタンかオムレツ類の日

水曜日は近くのガソリンスタンドの隣で売っているローストチキンの日

木曜日はスパゲティやピザ等子供が好きなもの

金曜日はお魚

土曜日はアイントップ 具沢山のスープの日

日曜日はお肉

 

・・・・

 

これを毎週毎週、何年も続けているという・・・

 

なぜ金曜日がお魚の日かというと、

それはカトリックの信仰からきていて、

イエスキリストが十字架に貼り付けられた日が13日の金曜日だったからだそうです。

 

ですので、

この日は『温かい血が流れるお肉は食べない』とされているため、

金曜日には冷たい生物の、お魚の日となったようです。

 

これには追加の説もあり、

 

昔々、

肉系を好むゲルマン人を商売相手にしていた漁師が、お魚が売れなく困ったので、

神父に泣きついて、1週間のうちの1日だけお魚を食べるという日を作ってもらった・・・・

 

とかいうストーリーを、

どこかの誰かのパーティーの、スモールトークで聞いたことがあります。

 

そして土曜日。

 

土曜日はアイントップ。

 

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Eintopf

すなわち 一つの鍋 となるでしょうか?

実だくさんのこのスープのことで、

この一皿でお腹がいっぱい。

 

なぜ土曜日がこの実だくさんのスープになったかというと、

かつでのドイツでは土曜日はお掃除の日と決まっていて、

手持ちのお野菜や肉類を片付け、コトコト煮ている間に家中のお掃除もできる・・

 

という合理性からだそうです。

 

そういえば、

現在での土曜日はお掃除の日というよりも、

『土曜日には車を洗う』というドイツ人も確かに多いですね。

 

なぜこういうウンチクでお話を始めたかと言いますと

理由がありまして。

 

実は・・

 

主人が、曾祖父母時代からの物品を山ほど貯めていて、

ついにそれを片付けるという段階に(やっと)きました(万歳)

 

古い本や書簡も山ほどあり・・・

 

その中から見つけた私のお宝が:

 

1928年にウィーンで初版が発行された料理の本と、

1929年にカールスルーエで発行された家事育児調理の基礎知識の本!

 

この基礎知識の本には、

生活のこと、日々の家事、使用人の扱い方等までもが書かれています。

 

当時、

おそらくお嫁に行く娘に持たせた本なのでしょう。

 

上記の

『土曜日は掃除をし、実だくさんのスープを作る』

というウンチクも、

実はこの本にあった内容でした。

 

 

そしてその古本と書簡の山の中から見つけた、

曽祖母の手書きのレシピ本

 

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友人から送られたと見られる葉書が一枚・・

 

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Sütterlinという文字で書かれたその手書きのレシピは、

大変読みづらいのですが、そこにもあったのがこのLinseneintopf

レンズ豆のスープ

 

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昔も今も変わらないそのレシピは、

まさに家庭に定着したドイツのお味だと思います。

 

私が学生時代のドイツの大学の学食 メンザでも、

土曜日はやはりこのスープでした。

 

レストランではあまりお目にかかりませんが、

たまにはドイツ人になった気分で如何でしょう?

 

いるものはレンズ豆。

ドイツ語ではTellerlinsenとかいう商品名で袋入りで売っています。

 

レンズ豆は、

乾燥インゲン豆とか乾燥グリンピースよりも柔らかくなる時間が早いので、

このまま調理開始でも良いのですが、

できれば一晩お水に浸しておきましょう。

 

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1029年発行の家事育児調理の本にも

『一晩水につけておくことによって消化がよくなる』

とありました。

 

確かにそうで、

お豆の類はお腹の中で発酵する?為か、お豆のスープをいただくと『ガス』を発生することが多くなりますが、

一晩浸して手で少しもんで、水面に浮いた薄皮をなるべく除くことにとり、

その『ガス』の問題も、お腹がパンパンになるということの問題も解決いたします♪

 

一晩浸しておいて、

薄皮をなるべく除いたレンズ豆はお鍋に入れ、

新しいお水をひたひたに入れて、

調味料もお塩もしないでそのまま蓋をして15〜20分ほど煮ます。

 

その間、

お野菜等の準備。

 

土曜日のスープには色々なスープがありますが、

そのどれにも必要なのが、この根菜類のセット

Suppengemüseです。

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本日のセットには

 

にんじん

ポワローネギ

根セロリ

根パセリ が入っていました。

 

これをザクザクと適当に細かく切りましょう。

 

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あと必要なのがベーコン。

 

お肉屋さんでベーコンの塊から切ってもらうのが一番いいのですが、

こういうのも売っています。

多分みなさま、一度はスーパーでご覧になったことがあるかと・・・

 

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今日は一袋500gのレンズ豆の半量で作りますので、

ベーコンも一切れ。

 

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二枚入っていたので、もう一枚は冷凍庫行きとなります。

 

あと、

脂分の多いソーセージがあれば、

それも切ってしまいます。

 

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もしなければなくてもOKですし、

ウィンナーとかが残っていたら、後からスープの中で温めても♪

 

 

 

コトコト煮ていたお鍋のお豆が柔らかくなったら、

お野菜を入れて、

 

ベーコンは切らないで、

そのままドボン。

 

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お野菜が柔らかくなるまでこのまま煮ます。

 

ベーコンやソーセージから塩分はかなり出るので、

お塩はしなくてもいいですし、

しても、とってもとっても控えめに。

 

その代わり、

ハーブを入れましょう。

 

ドイツではBohenkrautというハーブと普通のパセリを入れます。

 

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これがそのボーネンクラウト。

Bohnen豆のハーブというくらいですから、ドイツの豆料理には欠かせません。

自宅では庭にありますが、乾燥したものも売っています。

 

 

それがこれ

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日本で入手できないようでしたら、マジョラムとタイムでいかがでしょう?

 

パセリはイタリアンではなく、

葉っぱがチリチリの普通のタイプのものをお使いください。

 

 

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この茎の部分を細かく切って、この時に入れてしまいます。

葉っぱの部分は後からですが、この時に切って小皿に別にしておけば後からがラクです♪

 

そしてお野菜が柔らかくなるまで7〜8分、コトコトと。

 

お鍋のお野菜が柔らかくなったら

ベーコンを出して、切ります。

 

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アッチッチなので気をつけて。

 

皮の部分は捨てずにお鍋へ戻します。

細かく切ったベーコンのお肉の部分もお鍋へ。

 

この辺は、曽祖母の手書きのレシピにありました♪

 

*皮の部分は食べれませんが、味が出るので、捨てずにもう一度鍋に戻すこと*

 

 

 

そして切っておいたソーセージも入れて

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弱火でソーセージに火を通します。

ここから先はもう強火にしません。

ゴトゴトとも煮ません。

 

お塩で調味して、パセリの葉っぱの部分を細かく切ったものも入れて。。

そして重要なのがもう一つ。

 

それは

『お酢』!!

 

このレンズ豆のスープはお酢を入れることによって味がしまります。

バルサミコとかではなくて、ここはドイツ料理ですもの、

リンゴ酢 Apfelessigで♪

 

私は酸味が強いスープはあまり好きではないのですが、

主人は食卓でお酢を追加し、マスタードを混ぜて食べております。

 

同じような手順で、

ジャガイモのスープもWirsingサボイキャベツ(ちりめんキャベツ)のスープもできます。

 

 

昭和の日本、特に東京では、お醤油が必ず卓上にあり、

何にでもお醤油をかけていたような気がします。

ドイツでは、マスタードが基本の卓上調味料文化なのでしょうか?

我が家のマスタードの使用量は、ハンパではありません。