第二次世界大戦のあと、
労働力としてトルコからたくさんの人たちがドイツにきました。
東西の壁崩壊の後はその労働力が東にも流れ、
現在ではドイツ中のあちらこちらにトルコ人が多く住む場所があります。
そこに必ずあるのがトルコのスーパー。
お野菜や果物も別のルートでドイツに入るため新鮮ですし、
オリーブもたくさんの種類があって、よく利用いたします。
大好きなおナスは、
ドイツのスーパーのものより小ぶり。
それを使って、
以前、ドイツの新聞FAZの日曜版に
*アリ・ギュンギョミズ氏のお母さんの味 トルコの家庭料理*
として紹介されていたレシピを元に、詰め物をしたナスを作りましょう♪
このレシピの元々は、
やはり労働力としてトルコからドイツにきていたお父上の元に、
10歳でトルコから移民。
現在ミュンヘンでミシュランの星が輝くレストランシェフ
アリ・ギュンギョミュズ氏のものです。
ギュンギョミュズという名字はトルコ語で、
『太陽を見てごらん、そしてその日を見つめてごらん』
という意味だそうで、
まさにそれを表している彼の人生と彼の料理作品・・・
このナスの詰め物はトルコ語で
イマム バユルディといい、
訳せばドイツ語では
Der Imam fiel in Ohnmacht
日本語では
イマムがひっくり返る
となります。
イマムというのはイスラム教で礼拝を先導する導師のこと。
イスラム教の国に行くとよくスピーカーから流れる礼拝の声。
その声の元が『導師』だそうです。
そのイマムがある日家に帰り、ワイフが用意したナスの詰め物を食べたところ、
これが大変に美味しくて、何を使ってお料理したのか聞いたところ、
『ナス、トマト、玉ねぎ、ピーマン、ニンニク・・』
という答え。
でもそれだけではないはずの美味しさで、『他には?』と聞くと、
『大量のオリーブオイル』
という答えが返ってきたそう。
当時はオリーブオイルがとても高級だったので、
それでイマムが卒倒した・・・
という言い伝えがあるそうです。
他にも色々とこのイマムが倒れた理由のバージョンがあるみたいですが。
まあ、ここのところはこれで。
トルコでは有名なお料理だそうで、
色々なレシピも試し、トルコレストランでもあれば注文したこのお料理ですが、
ギュンギョミズ氏のこのお肉なしレシピが一番しっくりくるので、自宅ではこれで作っております。
おナスはヘタの部分を切り離さず、
数センチの間隔を開けて3本から4本、ピーラーで縦に皮を向きます。
ナイフで真ん中に1本、
下まで通さないように切れ目を入れ、
その切れ目にも、そして外側にもよくお塩をして、
お塩を入れたぬるま湯に20分から30分ほど浸けておきます。
こうすることによって、
おナスが後からオイルをジャバジャバ吸ってしまうことが少なくなります。
だっておナスはスポンジみたいですもの。
こうやって水分を吸わせておくことで、
オイルの吸収を防ぐことができるという料理の科学。
その後、
よーくおナスをキッチンタオルで、中や外の水分を拭き取りましょう。
そしてこれを丸揚げします。
イマムがびっくりするほどのオリーブオイルはここでは使わず、
普通のオイルでフライヤーで揚げましたが、
もし揚げるのがお好きでなければ、
蒸しナスにしてしまうのもアリだと思います。
おナスが柔らかくなったらキッチンペーパーに取り出し・・
そして中身の準備♪
中身はこれだけです
↓
トマトはおナス4本でしたら、トマトも4個ほどご用意ください、
後、イタリアンパセリとミントがあれば、それもどうぞ。
トマトはおソース用に2〜3個、
湯むきしてから半分に切り、タネを取り除きます。
この時に出る水分とタネは、後から使うので小さなボウルにとっておきます。
トマトは縦に切ってから
ダイスに切って
これを小さなボウルに入れてお塩をします。
ちょっとしょっぱいかしら?と思うくらいで丁度。
そうしたらボウルの上に小さなザルをおき、
そのザルにこのお塩をしたダイスのトマトを入れます。
ポタポタとトマトの水分が受け皿役のボウルに落ちますが、
これも後から使うので、捨てないで。
冷たいフライパンに、
オリーブオイルとみじん切りのニンニクを入れ、
ゆっくり火にかけます。
良い香りがたったら
玉ねぎのスライスを入れ炒め、
トマトを皮付きのままザクザク切った残りのトマトも投入。
お砂糖!!
で味をつけ、
ボウルにとっておいた湯むきトマトの中身と、
ザルの受け皿役のボウルの中のトマトの水分も入れます。
そして細長い緑のピーマンを小さく切ったものも・・
これを水分を飛ばしながら煮込みます。
お砂糖とお塩で味を見て、中身は完成♪
準備しておいたおナスを蓋のできるフライパンかお鍋に入れて、
そーっと開き、
そこにこの中身を詰めていきます。
中身は多分余りますが、
それは翌日もう一度フライパンで温めて、目玉焼きを上にのせれば、
とっても美味しい一皿になります♪
それか卵でとじてオムレツ風にしてお弁当にも。
詰め物をしたおナスの周りに
オリーブオイルを大さじ一杯ほどまわしかけ、
2センチほどお水を入れて蓋をして、
10分ほど中弱火にかけます。
この間、
ザルの上のダイスのトマトをもう一度小さなボウルに入れ、
オリーブオイルを大さじ1杯ほど入れて混ぜおソースの出来上がり。
イメージ的には
イタリアンのケッカソースみたいなものとなります♪
このおソースをお皿の上に分けて、
その上に詰め物をしたおナス、
そしてイタリアンパセリを細かく切ったものを飾れば、
『今日は肉なし??』
とかいう男性軍も『これは美味しい!!え?野菜だけ? でもレストランみたいだ』
と、太鼓判を押してくれるものと思います。
もしミントがお好きなら、
細かく切ったのもを中身に混ぜてしまいます。
そしてそれを詰め物に。
お肉がどうしても欲しければ、
ニンニクやタマネギを炒めた後に、牛肉でどうぞ。
また、ちょっとだけ残ってしまったボロネーズソースを混ぜてしまっても、
ぜーったいに残り物には見えない一品となります♪
ちなみに・・
ベジバーションでもお肉のバリエでも、
「これはおいしい! また作って」と申した主人。
でもひっくり返りはしませんでした・・・笑