ドイツ デュッセルドルフのクッキングスクールから 

在独40年+α デュッセルドルフの大手料理教室で講師をしております

ドイツ料理 Rouladenのお話

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Rinderrouladenの発音をカタカナで表記すれば、

『リンダーロラーデン』が、

もしかしたら一番近いかもしれません。

 

アメリカ英語の発音ですと『ルーラーデン』だそうで、

日本ではルーラーデンとか、ルラーデンとかとよばれているらしいこのお料理。

 

代表的なドイツ料理です。

 

時間がとてもとてもかかるので、

残念ながら時間的制約のあるお料理教室ではご一緒できない一品なのですが、

ロックダウンでお時間はたっぷりあります♪

 

ですので、

ここで写真入りでご説明いたしますね。

 

 

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リンダーロラーデン

Rinderrouladenは、

『牛肉』という意味のRindとRouladen

『何かを巻いて煮込む』という意味の二つが合わさってできた言葉です。

 

ですので、

例えばロールキャベツはドイツ語では

Kohlrouladenといいます。

 

ドイツ人の主人に日本語カタカナ表記である

 

ルーラーデン

ルラーデン

ロウラーデン

ロラーデン

 

を発音して聞いてもらいましたら、

ロラーデンが一番近いということですので、ここではロラーデンといたします。

 

ま、Rですので・・・

 

日本語表記は難しいですよね。

 

ロラーデン用のお肉はとても大きくて

 

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30センチ以上の長さがあります。

 

『Rouladen』は料理名そのままの名称で売っている『薄切り肉』ですが、

日本の薄切り肉とは違い、ソテーとかには向いていない部位の、

Oberschale 日本語ではシンタマというのでしょうか?

その部分のものが一番最適とされています。

 

Oberschaleは繊維が短く、脂肪も少ないため、

煮込み料理用の部分です。

 

もしかして、

スーパーの安売りとかパックに入って売られているものの中には、

この部分でないものもあり・・・

 

それに当たると固くて固くて、何時間煮ても、

そう、

圧力鍋で煮ても柔らかくなりません(涙)

 

ドイツ人には結構『噛んで食べる』お肉の味が好きな方も多いので、

それはそれで良いのでしょうが、

私たち日本人にはがっかり版となってしまいます。

 

もしそのような場合には、

すべて細かく切ってパスタソースに変身させてしまいましょう♪

 

ですので、

お肉屋さんで切ってもらう時には必ず

Rouladen - Fleisch aus der Oberschaleと注文されてください。

 

必要なものはこれ

 

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お肉に、ベーコン

トマトピューレ

ピクルス

ピクルスの瓶に入っている漬け汁

玉ねぎ・・中に入れるものとおソース用と数個・・

マスタード

ワイン

ビーフフォン・・・もしできれば自分でとった自家製コンソメ・・・

 

 

そして『時間』!

 

合計3時間はみてくださいね。

でも、

それに見合ったお味になります♪

 

 

まず、

玉ねぎは薄切りにしてさっと炒めておきます。

 

ピクルスは縦に薄切り。

 

それからお肉を叩きます。

 

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こういう肉叩きが一本あればとても重宝ですが、

ない場合には片手鍋やフライパンの底の部分でも。

 

叩いたらまず塩胡椒

 

そして

幅広の部分を手前にして、マスタードを塗ります。

 

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その上にベーコン。

先端の細い部分はそのままで・・

 

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ベーコンの部位と脂身の多い少ないはお好みでどうぞ。

 

ここに炒めた玉ねぎとピクルス

 

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両端を折って

 

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手前から丸めていきます。

 

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両端を折るのは、中身が途中で出ない為。

 

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丸く巻いたら

 

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糸でフィスレ『縛る』のが本格的

 

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ですが、

丸いステンレスの専用のワッカやシリコンの縛る紐?もありますし、

爪楊枝で先端を止めても・・

 

レストランのキッチンでは1個づつ縛っていたら時間が足りないので、

2個づつまとめて、金串でお団子みたいに止めていきます。

 

 

縛る糸は、

ドイツのスーパーではこういうものが売られています。

 

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上部の青いストッパーはお捨てにならないで。

 

これで手を切らずに済みますから。

 

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縛り方もグルグルっとするのでいいのですが、

カッコいいプロのやり方はいつの日か・・・・

Covit-19コロナ禍が収束し、お料理教室が再開できるようになったら、

ご一緒に練習いたしましょう♪

 

 

 

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で、

お粉をまぶします。

 

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表面に塩胡椒はいりません。

 

これをテフロン加工のフライパンで焦げ目がつくまで焼きます。

 

 

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これを煮込み用のお鍋へ。

 

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お肉を焼いたフライパンで、

おソース用のみじん切りにした玉ねぎを炒めます。

 

 

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玉ねぎが炒まったらここにまずトマトピューレ

 

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一緒に炒めて

 

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ピクルスが入っていた瓶の中のマリネ液、

漬け汁をそうですね・・・

 

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50ccくらいでしょうか・・・

 

それも入れます。

 

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ここにワインを入れます。

 

ワインは赤でも白でも・・・

 

クリスマスも終わった1月、

おソースは軽めの色に仕上げたかったので、

本日は白ワインにいたしました。

 

量はコップに1杯ほどでしょうか・・

 

そしてマスタードを大さじ1〜2杯

 

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トマトもワインもマスタードも『酸』ですので、

ここにお砂糖を入れて酸味を調整します。

 

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自宅ではBIOのザラメ糖を使っております。

 

その間、

お肉を入れた煮込み用のお鍋を火にかけ、

ビーフコンソメを入れます。

 

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そこにこのフライパンの中身を入れ

 

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お肉が完全にかぶさるようにコンソメで調整し

 

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一度沸かして、アクをとってからローリエを一枚入れて

160度の上下火に調整したオーブンへ。

 

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この時に二つやり方があって、

シェフの中には『蓋をしない』という派と、

『蓋をする』という派とあります。

 

蓋をしないと早くに水分が蒸発するのですが、

日本人の私はどうしてもしっとりとしたお肉をいただきたいので、

私は『蓋をする』派。

 

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このまま2時間ほど火を通します。

 

その間、金串でお肉を刺してみて、

すっと入るようになったら蓋を取ります。

 

もしくは、

蓋を取って直火にかけます。

 

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十分に時間があるので、付け合わせも準備・・

 

東の方はクヌーデルというダンプリングの付け合わせが一般的で、

南の方はシュペッツレというドイツのパスタ、

私たちのところの北西ライン地域ですと塩茹でジャガイモかマッシュポテトと、

場所によっての特性があるものですが、

それはそれ。

 

お好みで♪

 

地域性といえば、

中に入れるものもかなり違いがあり、

ひき肉を入れるところもありますし、

ベーコンやピクルスを小さく切るところもありますし、

玉ねぎは生のを入れたり、入れなかったりと色々あります。

 

この辺りは日本のお雑煮と似ていますね♪

 

 

今日はシュペッツレと芽キャベツのソテーを合わせました。

 

 

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これが自家製のシュペッツレ

 

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作り方により、

長くなったり短くなったりしますし、

乾燥したものも売っていますが、

自宅ではこのスタイルです。

 

実は・・

 

私自身はこれとおソースがあればお肉は入らないという派・・

 

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Rouladenbrot 

という食べ方もあり、

翌日、

残ったものを黒パンの上にのせて食べるものも、また極上残り物の一品♪

 

シュペッツレについては、また次回。

 

Guten Appetit♪