ドイツ デュッセルドルフのクッキングスクールから 

在独40年+α デュッセルドルフの大手料理教室で講師をしております

赤キャベツRotkohlのお話

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とてもきれいな色の赤キャベツ。

ドイツの冬は、キャベツファミリーの季節です。

 

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ケール

芽キャベツ

赤キャベツ

ちりめんキャベツ

etc..

 

日本でもコールスロー

 

昔風に言えば、

 

『キャベツの千切り』ですが、

 

そのサラダが少しドレスアップするとき、

 

この赤キャベツがほんの少量入っていたり。

 

とんかつの付け合せとか、

本当に脇役のキャベツのサラダに少しの色が入るだけで、

よそ行きの顔になるのは不思議ですね。

 

 

私の子供時代、

『冷麦』には色付きの麺が数本入っていて、

お水の中に氷と一緒に浮いているそのたった数本の色付き麺は特別感があり、

とっても大事にいただきました。

 

 

それに対して『お素麺』は色付きの麺がなくて、

真っ白。

 

セミがジージーいう暑い夏の日曜日のお昼、

両親が『ギヤマン』と呼んでいたガラスの器にはられた冷水の、

その中は真っ白の麺で、

色付きの冷麦を期待していた子供の私は、ガクッときたものでした。

 

その『ギヤマン』は割れもせず、半世紀以上に渡り、

東京の実家の夏には欠かせない重要なお役目をしてくれました。

 

そして月日は経ち、実家は解体。

 

でも『ギヤマン』はコンテナでスエズ運河を通り、

ドイツの自宅の食器棚に収まっております。

 

話がそれましたが...

赤キャベツは、ドイツでは日本の千切りキャベツのような脇役ではなく、

主役級のお野菜です。

 

紫キャベツという名前もあるこのキャベツ、

 

ドイツではRotkohl ロートコールと言います。

 

要するに....

赤キャベツ♪

 

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普通のキャベツはもとより、

ドイツの赤キャベツはとっても硬いので、

そのままサラダにしようと思うと、ゴソゴソして食べれたものではありません。

 

ですので、

もしサラダになさろうと思っていらっしゃる場合には、

千切りにしたあとお塩で揉んで、ひとまわり小さなお皿を上におき、

シナっとさせてからドレッシングで和えてみてください。

 

 ドイツ人は、

生で食べるより、煮込みます。

 

 

この季節によくお肉の付け合せに登場するのがこの赤キャベツの煮込み。

 

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これはグースのサイドとして。

おソースや芽キャベツ抜きの方がイメージ的に合うかしら?

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でも、外でいただくそれは、

もしかして....

 

「ドイツ料理は美味しくない」と言われている代表選手のようなものかもしれません。

 

この↓を見れば、

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確かに食欲がなくなりそう。。。

 

これ、どこかのレストランで撮ったものです。

 

あ〜そうね。どこかで出てきたわね。不味かったわ。

 

で、終わらないで!

本当はとてもとてもおいしいお野菜なんです。

 

きちんと作れば、

冬の、どっしりとしたお肉の料理に、とってもあう赤キャベツの煮込み。

酸味と甘みが調和して、

『食べ物のマリアージュってこういうことね』

と、うなづくお味となります。

 

このレシピでトライしてみませんか?

日本の赤キャベツでもおいしくできると思います。

もしかして、メインよりおいしかったり♪

 

 

レシピ:

小さめの赤キャベツ1個か、大きなものなら半分

玉ねぎ1個

りんご(できればBoskoop、もしくは酸味のある種類)1〜2個

お酢(できればりんご酢)大さじ2杯

お水もしくは飲み残しの赤ワイン カップ1杯〜

バター ひとかけ(だいたい大さじ1杯くらい)

サラダオイル 大さじ1杯

お砂糖 大さじ1杯

ブラックカラント等の黒っぽい色のジャム 大さじ1杯

お塩

グローブNelken3本 (入れたら本格的なドイツのお味になりますが、なくてもOK)

 

千切りにした赤キャベツを大きなお鍋にサラダオイル大さじ1杯と2〜3分炒めます。

 

赤ワインかお水を入れ、ふたをし、

グローブを入れて中火にして10分ほど煮ます。

 

その間、りんごの皮をむき、種と芯をとり、

2センチくらいの細かいいちょう切りにしておきましょう。

 

お鍋のキャベツが何となく柔らかくなったら、

お塩を小さじ半分弱、お砂糖を大さじ1杯、ジャムを1杯入れかき混ぜます。

 

色が変わりますが心配しないで。

 

そこにお酢を入れて、そのあとりんごを入れると、あらあら不思議。

お塩で青くなった赤キャベツが、とってもキレイな赤い色となります。

 

バターを入れ、もう一度ふたをして、くつくつと弱火で20分くらい煮ます。

 

ふたを開けて味をみて、お好みでお酢を足したり、ジャムの量を増やしたり。

 

これがドイツでお料理やケーキによく使われるりんご、ボスコープです↓

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このレシピのバターですが、

ドイツの家庭ではバターではなく、グースの脂を使います。

 

ここでは日本でも作れるように、バターにしました。

 

自宅では、婿がベジタリアンのため、

家族が集まるクリスマスはグースの脂ではなく、バターで作っております。

 

煮込んだあとまだ水っぽいようならば、

水溶きのコーンスターチでとろみをつけると、コンパクトなお味となります。

 

グースの脂ですが、

グースを焼いたときに出る脂は、一度完全に煮立たせ、

冷蔵保存しておきます。

 

シェフになった気分で腕をふるってみたいときには、

この保存しておいた脂で『コンフィ』をどうぞ。

 

折をみてここにもそのレシピをご紹介しようと思いますが、

『コンフィ』はそんなに難しいお料理ではありません♪

 

赤キャベツの煮込みは二日目からがおいしくなります。

 

赤キャベツを千切りにするときは指先が染まりますので、どうぞ手袋をお使いください。